モントリオール日加協会創立 50 周年記念

桜和-OWA展


DATE 2010.6.26〜8.22
PLACE Montreal/CANADA
GUEST

濱中房枝(濱中宗佑茶道表千家教授 桜和代表理事)
平田寛(亜細亜美術工芸館館主 桜和理事)  
藤波重彦、金子聡哉、新江和人(観世流能楽師)
折笠光助(漆芸 桜和顧問)
石川綱洋(藍染 桜和理事)
石川蛍(藍染 桜和顧問)
提橋景湖(七宝 桜和顧問)
橋本美智子(人形 桜和顧問)
倉澤良裕(禅 黒羽大雄寺住職 桜和顧問)
伊藤常代 中川恋都・恋花姉妹(三味線 今藤佐代)
根本節子(箏 生田流宮城派 師範)
鈴木小香(書家 桜和顧問)

モントリオール展報告写真パネル展
10月18日~10月29日 場所:那須町役場 入り口ロビー


桜和カナダ展をかえりみて

桜和-OWA代表理事 濱中房枝   
     

 この度はモントリオール日加協会と在モントリオール総領事館の50周年をお祝いさせていただく為に日本から参りました。6月末に植物園日本館に於いて4日間のプレビュー展を行い、ポイントクレア市スチュアートホール本展開場に移りましてから早くも2か月近く、8月末に会期終了の日を迎えようとしています。

 桜和-OWAは栃木県那須塩原市(東京から新幹線で1時間ほどの地にあり、生乳生産本州一番の酪農と温泉中心の高原リゾート地)に拠点を置き、栃木県の認証を受けたNPO法人です。会員は栃木県だけでなく、お隣の福島県、東京、千葉を含む関東地方一帯と関西にまで広がりますが、事務所が一か所なので、県の認証となります。ちなみに、他県にも事務所を置くとなりますと、総理府の管轄下に入ります。会員数は100名ほどで、半数が多分野にわたる文化、芸術に携わる正会員から成る団体です。NPOと申しますのは特定非営利活動法人の略称で、会費と寄付金に税の優遇がある法人組織で、桜和の場合は6人の理事と2人の監事から役員会が構成されている「会社」です。正会員は法制上「社員」と呼ばれること、又、法人税を支払い、総会を義務付けられている、なんら一般の会社と変わりない組織で、違いといえば非営利活動法人というだけです。


 活動主旨は日本の文化(殊に伝統文化)を踏まえた「青少年の育成」と「国際交流」にありますが、なかなか実行するに難しい事業形態です。文化にしろ教育にしろ、短期間で成果が見えるというものではありませんので、長期のビジョンを以って、育て熟成させる為の環境が必須です。簡単に申しますと、お金はかかるけれども成果がすぐには見えない分野なので、出資者が少ないわけです。よって、「絶え間ないボランティア精神」が必要とされるわけで、これは又、小さな志を寄せることで、大きな事業を達成しうるとも、逆転の発想で考えれば言えるかもしれないのですが。  この度の桜和カナダ展は、栃木県国際交流協会の後援他、行政側の後援をいただきましたが、第一次から第三次までの40名以上の参加者は個人ボランティアとしてのご協力でした。実際に渡加して下さった方だけではなく、資金集めの為の講演会にご協力下さった元ハンガリー大使、或いは民謡日本一の歌声で応援コンサートに出演して下さった音楽グループ、琵琶奏者、琴奏者、個々人がそれぞれの形で、できることをして下さった、それがこの度の桜和カナダ展の原動力となりました。

 そもそもこの事業は、カナダに40年以上暮し、現在モントリオール日加協会副会長を務める高畑雅子さんの意気に感じるところから始まりました。私は、二人のお子さんをモントリオールで育て、大学他で日本語講師をしながら、カナダと日本の架け橋であり続ける高畑さんの姿をこの40年間日本から拝見して参りました。モントリオール植物園に日本館、日本庭園があるのも高畑さんのプロジェクトであったことを、20数年前、まだ柱と床しかない茶室に入った目撃者として語ることもできます。この度のオープニングセレモニーではそのお茶室でお茶を差上げることになりまして、なんとも感慨無量でした。
 さて、少々脱線いたしました。どう意気に感じてこの桜和展になったのか、ということでしたが、私の口からお伝えするより、能楽観世流、藤波先生のお手紙から引用させていただくほうが良さそうです。


 7月中旬、観世流お家元のご内諾を得て、能楽師の藤波重彦先生が、演能とワークショップに渡加、お越しくださいました。総勢4名の一団でしたが、ポイントクレアスチュアートホールでは110人余りが満席、植物園オーディトリアムも300人が予約満席となる盛況さでした。仕舞と「羽衣」の衣装付け、面の説明、そして最後に舞。皆々で「はなのみやこを立ちいでて」と歌った謡の一節。楽しくて、美しくて、あまりの美しさに日本の伝統的な芸には千年の時間の流れが潜んでいるのかと、酔わされているようなひと時でした。でも先生は私宛の礼状に「拙い芸を、スタッフの皆様の御力と、御客様の好意で何とか無事終えることができました。」とおっしゃるのです。そして、「高畑様には祖国日本に対する深い愛情に感銘を受け、誇り高き御姿には、日本に住む日本人でいながら—」と続くのです。

 伝統的日本文化の世界にあって、まさにその継承者である先生のおっしゃる言葉の重さを思うと、私が千万言費やすまでもなく、どう「意気」に感じたのか皆様にお分かりいただけるのではないかと、お叱りを覚悟で引用させていただきました。
 今年、桜和は、文化庁の委託事業を「お茶」で受けました。小中学生を対象に10人以上10回以上のカリキュラムを組んで指導致して参ります。昨年は藍染教室を致しましたが、この伝統文化子ども教室は、文化庁として、来年度で打ち切られることになっております。国の方針ですらこのように変わるのですから、民間の団体で、文化を継承し、子どもたちを育て、又、その文化環境を次代に伝えていくことの難しさを痛感しております。

 けれど、この度の桜和展での大きな収穫は、モントリオールの皆様に日本文化の幾分なりともお伝えできたこと、又、40年前、高畑さんの学生として来日した旧知の—今では友人といえる人々との再会を果たしてみて、1人の手に運ばれた一粒の種ですら、異国で大きな木に育つのだと再確認できたことでした。桜和の仕事はその個人の志を、組織として気長に地道に、絶やすことなく継承し実現していくことだと再確認できたことです。


 最後に、私ども桜和から市松人形二体が、一体はモントリオール市のプライオリースクールに、もう一体はポイントクレア市の子供たちに親善と友好を願って贈らせていただきましたことを申し添えます。人形たちは那須塩原の子供たちが、「かなちゃん」、「はなちゃん」と名付けました。 二粒の友情の種が近い将来に、大きな花を咲かせてくれることを切に願うと共に、モントリオールの皆様を通じて日加の架け橋がもうひとつ出来ましたことを心より御礼申し上げる次第でございます。
有り難うございました。



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